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  いきなりですが、「蚯蚓」という字を読めますか?

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いきなりですが、「蚯蚓」をいう字を読めますか?

 難解漢字には不思議な魅力が宿っている。冒頭の「蚯蚓」が虫の名前だということは、誰でも見当がつくだろう。中学時代に初めて、この漢字を叔母に示されたとき、私の脳裏に次のようなイメージがよぎった。

 得体の知れない虫が、丘の上で体を引きずっている…。

 ここまでくれば、限りなく正解に近づいたわけだが、喉元まで答えが出かかっているのに、当時の私は読めなかった。謎かけのような漢字だが、答えは「ミミズ」である。人によっては想像するのも薄気味悪い「異形の生き物」かもしれないが、田舎育ちの私にとって、ミミズは日常的に見慣れた虫の一種に過ぎない。カワイイとまでは思わないが、手のひらで這わせることもいとわない存在だった。

 改めて「蚯蚓」の字を観察すると、巨大なミミズが体を引きずりながら、のっぺりとした丘をゆっくりと這い上がっていくシュールな光景が、目に浮かぶようではないか。ちなみに、脳裏に強烈なイメージ(画像)を描くのは、記憶術の基本技術である。

 虫偏の字には、次に示すように難解かつ魅力的なものがたくさんある。
 ①蟷螂 ②蝸牛 ③蜻蛉 ④蛞蝓 ⑤蜥蜴 ⑥蝌蚪 ⑦蟋蟀

 鳴き声が美しい虫、姿が美しい虫、嫌われ者…などいろいろな虫があるが、どの漢字も表情豊かで、たかが虫ごときが文学的な芳香を漂わせているではないか。

〔読み方のヒント〕
 正解は次の中にありますが、勘のいい方なら知らなくても全問正解できるかも…。

 とんぼ こおろぎ とかげ かまきり なめくじ おたまじゃくし かたつむり

  ※答えは省略(意地悪ではありません。楽しみは自分で見つけるものです)

 私が難解漢字に興味を持つきっかけになったのは、「蚯蚓」との出会いだったと、半世紀を過ぎた今、改めて実感している。そして、言葉(漢字)を脳裏に鮮烈にイメージ化する面白さは、十年後の記憶術との出会いにつながっていく。

言葉①(2020年8月) 

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