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小論文の課題―テーマの見つけ方

 

 小論文の場合は、あらかじめ課題が与えられています。しかし、そのテーマは抽象的で、しかも範囲が広く、茫漠としているのがふつうです。たとえば、「環境問題」「最近、感動したこと」「コミュニケーション」「理想と現実」というようなテーマを前にすると、何を書いたらよいかとまどうのではないでしょうか。大学入試や就職試験などで出題された場合、限られた時間内で構想を練るのはたいへんです。

 与えられたテーマから、いかにして自分のテーマを見つけるか、それが最初の関門となります。テーマを決めるポイントは次の三点です。

 (一)ブレーンストーミングをしてテーマを見つけ出す
 (二)テーマを自分の身近な問題に引き寄せる
 (三)名脇役を用意する

ブレーンストーミングをしてテーマを見つけ出す

 第一のポイントは、ブレーンストーミングをして小さなテーマを発見することです。与えられたテーマから連想されるキーワードを、思いつくままにメモしてみましょう。できるだけさまざまな角度から探すのがコツです。ある程度出そろったら、それらのキーワードの中からイメージがふくらみそうなものを選んで候補とします。

 テーマが「環境問題」の場合を例にしてみましょう。環境問題といえば、だれもが真っ先に「地球温暖化」を連想するのではないでしょうか。あるいは「大気汚染」や「生態系の破壊」かもしれません。でも、小論文にはちょっとテーマが大きすぎるようです。視点を変えて、身の回りのことも考えてみます。すると次のようなキーワードが連想されるでしょう。

環境問題―ごみの不法投棄、悪臭、騒音、スモッグ、粉塵、湖沼の富栄養化、地下水汚染、土壌汚染、農薬、アスベスト、乱開発、外来種、両生類の減少、絶滅種、日照権、景観破壊、異常気象、ヒートアイランド、埋め立て、赤潮、スギ花粉、地盤沈下、土砂災害…

 ここまでたくさんひねり出す必要はないでしょうが、頭をやわらかくするという意味で書き出してみました。この中から書けそうな題材を絞り込みます。

テーマを自分の身近な問題に引き寄せる

 次は第二のポイント、「テーマを自分の身近な問題に引き寄せる」ですが、これはテーマを絞り込むための判断基準です。考え方はエッセイの場合と同じです。自分の身近にあるテーマ、できれば自分自身の体験や、直接、見聞きしたことが織り込めるような内容のものを選びます。

 自分の住環境が、悪臭、騒音、粉塵、日照権、景観破壊などの問題を抱えていれば、書く材料はたくさんありますし、当事者だけにその主張にも説得力が増します。あるいは、「近くの湖沼が富栄養化で、地域の問題になっている」とか、「最近、カエルを見なくなった」、「近所にごみを勝手に捨てていく人がいて腹が立つ」などの身近な問題があれば、そうしたエピソードを中心に論理が展開できます。本で得た知識を中心に組み立てた抽象論に比べ、はるかに生き生きとした文章になるでしょう。

名脇役を用意する

 
 第三の「名脇役を用意する」は、何のことかわかりづらいかもしれません。短い芝居を考えてみてください。主役だけが目立っても、おもしろくありません。必ず名脇役というものがいて、時にはいぶし銀のように輝き、ドラマを深いものにしています。小論文という地味な「ドラマ」の中にも、主役(メインテーマ)だけでなく、味のある助っ人や悪役などを配してみましょう。

 名脇役は、ブレーンストーミングで作ったキーワードの中から選ぶこともできます。たとえば、主役を「両生類の減少」とした場合、その原因はいろいろ考えられますが、「農薬による環境汚染」を名脇役に選び、主張の中心に据えるような場合です。あるいは「農薬を含む化学物質の土壌汚染」を主役とすれば、別のジャンルから「食の安全性」を名脇役として迎えることもできます。

 時に名脇役は、魅力的な「悪役」である場合もあります。自分の主張に手ごわい反論が予想される場合です。論理を展開する上でのいわば仮想敵国になるわけですが、こうした場合、逃げてはいけません。自信を持って「悪役」を懐に抱え込み、入念に反論する必要があります。それが成功した場合、「有力な反論」は名脇役として、いっそう主役を輝かせることでしょう。


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