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〔6章〕 文章の推敲と完成

 この章では、いったん書き上げた文章をどのように完成させていくか、推敲の仕方について解説していきます。文章を書き慣れない方は、書き上げるだけで精いっぱいで、自分の文章を見直すゆとりがないかもしれませんが、最低限、誤字脱字や文法的誤り、読み手がわかりづらいだろうと思われる個所がないかどうかなどを入念にチェックし、修正することが大切です。文章は一通り書き終えてからが本番。推敲こそが文章上達の決め手と考えてください。まずは添削・リライトの実例からご覧ください。

 〔CONTENTS〕 第6章 文章の推敲と完成
 推敲・添削・リライトの実例   推敲のコツ―自己添削と自己リライトについて

推敲・添削・リライトの実例

 

 文章のプロとアマの大きな違いは2点あります。一つは、ひとまず文章を書き上げる時間の速さです。プロはあっという間に書き上げてしまいます。

 しかし、それだけならアマもプロも程度の差に過ぎません。もう一つの違いは、いったん書き上げた文章を推敲する時間の長さです。文章の種類や性質にもよりますが、プロは書き上げた時間よりも推敲する時間のほうが長いのが普通です。時には大半を書き直しすることも珍しくありません。

文章を書き慣れた方のエッセイを素材に…

 次のエッセイは、文章をかなり書き慣れた方のエッセイです。まずはざっと目を通してください。後で問題点と推敲・添削のポイント、リライト例を示します。自分の文章を推敲する際のチェックポイントになりますので、じっくり読み比べてみてください。

   母と私                             (40代・主婦)
 
 里の母が我が家にやって来たのはある初夏のことであった。普段は兄夫婦一家と暮らしている大正生まれの私の母である。一週間ほど滞在したいということで、遠慮のいらない実の母であるから、楽しく滞在してもらおうと思った。母は着物の良く似合うそして着物を作る事も出来る人なのに、実の娘である私は着物を作るのはもちろん駄目だが、何故か着るほうも駄目である。不思議なほど似合わない。着てみたことがあるが、写真に撮った着物姿のあまりの似合わなさにあきれ果てて、それ以来着ようと思ったこともない。私と母は文化が違う人同士のようである。文化と言えば今時あたりまえだが、我が家にもお風呂とシャワーがある。主人は朝出勤前にシャワーを浴びる。娘も朝シャワーを浴び、髪を洗ってから登校する。ましてや夏は滅多にお風呂は沸かさない。

 ところが母はシャワーは苦手らしく、毎晩お風呂に入らせてね、と言う人である。この暑いのに良くお風呂に入る気がするね。と感心しながら、夕方になると浴槽にお湯を落とす。毎晩入るためか、母の入浴はカラスの行水でとても早い。石鹸使っているの?と聞くと、毎晩入っているから石鹸はいらないそうだ。そうこうしながら毎晩お風呂に入っていた。母の要望は至って慎ましいもので、毎日牛乳をコップ一杯飲ませて欲しいというものであった。髪も綺麗に茶色に染めて短くパーマをかけていて可愛らしい。行きつけの美容院で毛染めとパーマをかけるということで、年に2度位しかパーマをかけに行かない私よりもずっとおしゃれなのには感心する。必ず毎日お化粧をする。実家の方でたまに入院することがあったということだが、その時も、主治医の先生が毎日病室を訪れるからといってお化粧を毎朝していると、二人部屋の同室のお婆さんに、入院してまでお化粧するのは可笑しいといって文句を付けられた。とても嫌だった、と言う。

 死ぬまでお化粧やおしゃれを忘れなかった母を見習わなければと思う昨今である。

問題点の発見

 かなり文章を書き慣れた方のようで、素人としては水準以上の文章です。でも、あえて厳しい見方をすれば、この文章には読者を引きこむ力が感じられません。なぜでしょうか? 問題点とリライトのポイントを6つ書き出してみました。

1.テーマがぼんやりしていて、読み進んでもなかなか見えてこない
  ⇒冒頭の2、3行に工夫をして、早い段階でテーマを提示する。

2.タイトルの「母と私」はそっけなく、これだけではイメージが湧かない。
  ⇒さりげなく内容を暗示する題を考えたい。

3.段落が長すぎる。いつの間にか内容が変わっているので読みづらい。
  ⇒段落を短かすぎない程度に分けて、読者の頭に入りやすくする。

4.中心テーマから外れる記述が挿入されているため、言いたいことがボケて、散漫になっている。
  ⇒最も伝えたいことに影響しない記述は削除する。なくても意味が伝わる語句も削る。

5.「滅多に」「石鹸」などの漢字は、好みの問題もあるが、このエッセイにはいかめしすぎる。
  ⇒硬い印象を与える漢字は仮名にする。漢字は常用漢字にある表記を基本とする。

6.結びはやや唐突な上に、「と思う昨今である」は紋切り型の表現で気になる。
  ⇒結びに自然につながるような表現を工夫し、余韻を残して終わらせたい。

 たくさん並べ立てましたが、どれもちょっとした修正に過ぎません。次に、原文の内容や味を損なわない程度にリライトしたものを掲げました。原文と印象がどう変わったか、感じ取ってください。 

添削・リライトした原稿

   母の思い出                      (リライト原稿)

 里の母が我が家にやって来たのは、ある初夏のことだった。我が家とは生活習慣も違う母だが、遠慮のいらない間柄である。一週間の滞在を楽しく過ごしてもらおうと思った。

 大正生まれの母は、私と文化の違う人のようである。母は着物が良く似合う人だが、私は不思議なほど似合わない。一度、着てみたことがあるが、写真に撮った着物姿のあまりの似合わなさにあきれ果てて、それ以来、着ようと思ったこともない。

 他にも文化の違いはいろいろあるが、母の滞在中にさっそく起こったのが、お風呂の問題である。我が家では、主人は朝出勤前にシャワーを浴びる。娘も朝シャワーを浴び、髪を洗ってから登校する。そのため、夏はめったにお風呂は沸かさない。

 ところが母はシャワーが苦手らしく、毎晩お風呂に入らせてね、という人である。この暑いのによくお風呂に入る気がするね、と感心しながら、夕方になると浴槽にお湯を落とす。毎晩入るためか、母の入浴はカラスの行水でとても早い。石けん使っているの、と聞くと、毎晩入っているから石けんはいらないそうだ。そうこうしながら毎晩お風呂に入っていた。

 母の要望はいたってつつましいもので、毎日牛乳をコップ一杯飲ませて欲しいというものであった。髪をきれいに茶色に染め、短くパーマをかけていてかわいらしい。行きつけの美容院で毛染めとパーマをかけるということで、年に2度くらいしかパーマをかけに行かない私よりもずっとおしゃれなのには感心する。

 しかも、母は必ず毎日お化粧をする。以前、実家の近くで入院したときにも、主治医の先生が病室を訪れるからといって毎朝、お化粧をしていた。同室のお婆さんに、「入院してまでお化粧するのはおかしい」と文句をつけられ、とても嫌な思いをしたという。

 その母も今は鬼籍の人。死ぬまでお化粧を忘れなかった母を見習わなければ…。いつの間にか私は、母の面影に自分を重ね合わせていた。

 なお、文章の推敲については、「単調な文章にリズムをつける」を挟んで次の次、
 推敲のコツ―自己添削と自己リライトについて
でも詳しく解説しています。内容は、「添削とは、主に部分的におかしいところを直すこと」「リライトとは、全体が無駄のない一つのメッセージとなるように文章を書き直すこと」「文章のセオリーを知り、問題点を見つける力をつけること」「読み手の気持ちになること」の4項目です。

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