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  自分史の書き方とエッセイの文章作法

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①文の構造 ②読みやすさ ③テーマと準備 ④構成/構想 ⑤書き出し ⑥推敲 ⑦共感/リズム 

自分史の書き方とエッセイの文章作法

 

テーマの項目数と枚数 

 目次構成づくりのところでは触れませんでしたが、テーマは何項目くらいが適切なのか気になる方もおいででしょう。これはその人の人生の長さや、波瀾万丈度によっても異なります。

 私がお手伝いをした自分史では、20項目に満たないものから50項目を超えるものまでありました。面白いことに、この対照的な両者の全体の字数には、大きな違いはありませんでした。項目数を多くすれば一つ一つの文章は短くなるのが普通で、平均して400字詰め原稿用紙換算で5枚前後といったところでしょうか。

 一方、20項目に満たないテーマのほうは、一つのタイトルに対して、原稿用紙10枚以上のものもかなりありました。それだけ長くなるとすっきりとまとめるのが大変です。そこで私のリライトでは、内容別に2~3ブロックに分けて小見出しをつけたり、大段落をつけたりしましたから、一つのまとまった文章としては3~6枚程度に収まっています。

 大段落というのはいくつかの段落を束ねたもので、「改行して一字下げ」にする普通の段落と区別して、「改行して一行空き・一字下げ」の形にします。前の段落から時間が経過したり、場所や状況が大きく変わったりした場合に、空白の一行を挿入することによって、前の段落との心理的な距離を演出する効果があります。小見出しをつける方法との違いは、内容の連続性が保てることです。ただし、安易な多用は避けたほうがよいでしょう。

テーマの分割と合併。時には削除も…

 一つのテーマが予定以上に内容が詰まって長くなりそうな場合、前述の小見出しや大段落で処理するよりも、テーマを二つに分割したほうがよいこともあります。その場合、前半の終わりと後半の初めは、それぞれ「結び・オチ」と「書き出し」にふさわしい文章に書き変える必要があります。文章構成が変わってくることもあり得るでしょう。

 それとは逆に、立派な見出しを立てたけど、一つの項目として独立するには内容的にも文字数的にもちょっと足りないなあ、ということもあります。その場合は、前後のどちらかと合併します。合併が内容面でうまくいきそうもない場合は、数行に凝縮して他のどこかに挿入することができるかどうかを検討します。

 それもしっくりこない場合は、その項目と内容を全面削除します。たぶん、それは「いらない素材だ」という天の声であって、なくても全体的な影響は皆無だということです。文章において、余分な記述は「蛇足」どころか、「マイナス」になることがあることを肝に銘じておいてください。

自分史とエッセイ集―同じ点と違う点

 自分史の各項目の文章作法は、エッセイとほとんど同じ考え方でよいでしょう。書き始める前に大まかな文章の流れを考えておきます。

 構成は短いものなら三部構成、通常は四部構成、五部構成(三部構成の真ん中が3部構成なった発展形)を基本とします。また、第一行目はあまり気張らず、短い言葉で読者の「知りたい気持ち」を誘発するような書き出しを心がけます。
 ※詳しい文章作法は当サイト「文章講座2」4章~6章をご覧ください。
    4章 文章の構成と構想(6テーマ)
   
5章 文章の書き出し(3テーマ)
   
6章 文章の推敲と完成(2テーマ)

 
  文章作法としては、自分史とエッセイ集はほとんど同じといえるのですが、全体としてみると大きな違いがあります。それは自分史が作者の生い立ちを含む体験をもとに、時系列の経糸で綾をくみながらつながっているのに対し、エッセイ集は一見バラバラなエピソードの中から、作者の体験や気持ち、思想などがそこはかとなく紡ぎ出されてくることです。エッセイ集は、一つ一つが独立して楽しめることに大きな特徴があります。

 こうした違いを考慮すれば、自分史では、生まれた頃の時代や土地柄、家族構成から、生い立ち、教育、人間関係、職業、健康、社会的事件、個人的事件までが、何らかのつながりを持っていることを意識しつつ書くことになります。とはいえ、あまり説明的な自己分析は、読む人の気をそぐ恐れがあるので避けたいところです。大事なことは、楽しんで書くということです。
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