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第1章 文の構造と悪文 つい書いてしまう意味の重複|修飾語で気をつけること

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つい書いてしまう意味の重複|修飾語で気をつけること

 

修飾語と被修飾語との関係

 形容詞や副詞は必ず被修飾語の前に来ますから、意味が混乱することはまずありません。しかし、二つ以上の形容詞や文節で修飾する場合は、わかりやすさに気を配る必要があります。まずは次の例を見てください。

 ①大きな花柄の箱  
 ②昨日買った小鳥の餌


 ①は大きな「花柄の箱」と読むのか、それとも「大きな花柄」の箱と読むのか、読者を迷わせます。このように複数の解釈ができる文は避けなければなりません。あなたならどう直しますか。

 箱が大きいという意味の場合は、「大きな、花柄の箱」と表記すれば済みます。しかし、花柄が大きい場合は小細工が通用しません。少し長くなりますが、「大きな花柄をあしらった箱」とでもしましょうか。花柄のイメージがより強調されます。

 次に②の文節ですが、昨日買ったのが餌なのか小鳥なのかがはっきりしません。前者の意味なら「昨日買った、小鳥の餌」とできますが、後者の場合は苦労します。「昨日買った小鳥にあげる餌」と表現してもやはり2通りの解釈が生まれます。そもそもこの短い文節の中に、「昨日小鳥を買った」ことと「小鳥の餌」を同時に表現することに無理があるのです。このような場合は、文の組み立てから変えていかなければなりません。

意味の重複を避ける

 

 修飾語でもう一つ気をつけなければならないのは、意味の重複です。子供の頃、重複のおかしさを笑いものにする台詞を何度か聞かされたことがあります。それは次のようなものでした。

 武士という侍が馬から落ちて落馬した。

 まさか、ここまでひどい人はいないでしょうが、話し言葉ではたいていの人が重複語を使っていますから、文章でも気がつかずに書いてしまうことは十分あり得ます。よくありがちな表現は次のようなものです。

まず最初に → 最初に
いちばん先頭 → 先頭、いちばん先
すべてを網羅する → 網羅する
いまだに未解決である → 未解決である、いまだに解決していない
後で後悔する → 後で悔やむ、後悔する
障害者の人 → 障害者、障害のある人
 

形容詞と副詞は少なく

 修飾語を省きすぎると、舌足らずの文章になります。逆に修飾語が過剰になると、冗漫な文章になります。

 形容詞や副詞には特に注意が必要です。あまり修飾語が多くなると、枝葉末節に意識が分散され、最も伝えたかった重要なことがはっきり伝わらないおそれもあります。形容詞や副詞の多用は、美的な観点からもくどい印象を与えてマイナスです。

 適切な修飾語を必要最小限度に使用するのが、美しくわかりやすい文章を書くコツと心がけてください。

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