文章上達のツボ~わかりやすい文章(HOME) 文章上達法構成・書き出しと推敲(文章講座2)
 3章 テーマ探しと文章を書くまでの準備

文章講座1
悪文の直し方
文章講座2
構成・書き出し~推敲 
文章いろいろ
作文・仕事・自分史… 
エッセイ
猫・写真・囲碁将棋… 
①文の構造 ②読みやすさ ③テーマと準備 ④構成/構想 ⑤書き出し ⑥推敲 ⑦共感/リズム 

3章 テーマ探しと文章を書くまでの準備

 〔CONTENTS〕 第3章 テーマ探しと書くまでの準備
文章の種類(読者が求める5つの目的とは…) ●エッセイ・随筆・小論文―違いと共通点 文章のテーマの探し方|読者は何を知りたいか? 小論文の課題とテーマの見つけ方、絞り込み方 ●小論文の採点基準―意外に高い「主題の評価」 ●文章を書く前の3つの準備

目的によって異なる文章の書き方

 文章の目的は大まかに、「記録する」「解説する」「楽しませる」「自己表出をする」「宣伝する」の5つに分けることができます。ただし、以上の一つだけが目的の文章は少なく、ほとんどの文章は複数の要素が多少混じり合っているものです。

 一般の方が文章を書く場合は、日記と手紙を除けばエッセイ的なものか小論文的なものではないでしょうか。エッセイを書く目的は、自発的か依頼されたかものを問わず、自己表出的な要素が強いと思います。それに伴って、事実関係や考え方を説明(解説)するという要素も欠かせません。さらに、読者のことを考えれば、楽しませる要素もないとなかなか読んでもらえません。

 一方、小論文は自分のアイデアや体験、研究、思想などをまとめて、説明(解説)するという目的が強く、その他の要素はわずかしかありません。ただし、就職試験や昇進試験の提出論文においては、自己表出という面は出過ぎない程度に意識する必要があります。テーマの斬新さも、拡大解釈をすれば「採点者を楽しませる」ということにつながる大事な要素です。

 つまり、文章というものは「どんな読者に向けて、何の目的で書くのか」ということが意識されていなければ、書けないということです。

テーマ探しから始まる、書くまでの準備

 小論文やエッセイでは、まず何を書いたらよいか、テーマ探しから始まります。次に文章の素材を集め、それを整理し、テーマに沿った筋道を考えます。文章を書き始めるまでの準備は大切で、ここがしっかりしていないと文章はまとまりません。特に小論文では、 主題自体が評価の対象になりますから、テーマをしっかり意識することは大切です。テーマが決まったら、執筆に必要な各種資料を集め、内容を絞り込みます。文章構成を考えるのはその後です。

 なお、小論文のテーマはその性質上、比較的明確になりやすいのですが、エッセイのテーマは漠然と意識しただけでははっきりしづらいものです。あれもこれも書こうとすると、何を一番伝えたかったのかがぼけることになります。エッセイのリライトをしていると、よく見られるパターンです。

 最後に、「文章の書き出しがなかなか出てこない」とか、「目標の半分も行かないうちに行き詰ってしまった」という悩みについてですが、ほとんどの場合は準備不足が原因です。それと共に、次の章で解説する内容構成の検討が不十分だったことも疑うべきでしょう。

  最初のテーマ「目的から見た文章の種類」から読む
  文章講座2・内容一覧