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第4章 構想と構成法 起承転結は文章に向いてない…その理由とは

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①文の構造 ②読みやすさ ③テーマと準備 ④構成/構想 ⑤書き出し ⑥推敲 ⑦共感/リズム 

二部構成の文章(序論+本論)

 

極端に短い文章にも構成が…

 文章は文が複数集まったものですから、二つの文でも成立するわけです。事典などに登場する短い説明文がこの形式をとります。

 たとえばこんな感じの文章です。

  フキノトウは、雪解けを待ちきれず出てくる早春の山菜です。
 食べ方は、てんぷらがいちばんですが、味噌汁の具や煮びたしにしても美味です。

 始めの文は、フキノトウの植物としての説明をしており、序論に相当します。次の文が本論で、どんな食べ方があるかの説明です。「雪解けを待ちきれず出てくる」という句に、説明文特有の堅苦しさを和らげる表現上の工夫がありますが、それでも、ここまで短い文章になると味気ないものです。

 そこで少し、説明をふくらませて文章らしくしてみましょうか。

 フキノトウは、雪解けを待ちきれず出てくる早春の山菜です。最初に頭を出すのはフキの花芽の部分。中心のつぼみを幾重にも苞が包み込み、懸命に寒さから守っています。
 フキノトウの食べ方は、何といってもてんぷらがいちばんでしょう。低めの温度でじっくり揚げるのがコツで、つぼみが開くと苦味が取れます。そのほか、味噌汁の具や煮びたしにしても美味です。

 構成は前の文と変わりませんが、五つの文に増え、段落が生まれました。序論では、フキノトウの擬人化によって親しみを表現するとともに、「早春の山菜」という言葉で主題を暗示しています。本論は「フキノトウの食べ方」で題材は変わりませんが、てんぷらの揚げ方をつけ加えて、味噌汁や煮びたしに対して主役の座を強調しています。

 

 このように極端に短い文章では、二部構成にならざるを得ません。説明文では一切の余分なものを排除して、わかりやすさを優先します。時には二部構成どころか、「一部構成」になることもあります。もっとも、一部構成はもはや「構成」とはいえないでしょう。

 二部構成は、先ほどの「序論+本論」という構成のほかに、「前置き+本論」というのもあります。両者は似たようなものですが、本論に直接、関係ないことを述べるのが前置きです。この形式はもっぱら短い手紙に使われます。

 短い手紙では、まず時候のあいさつから始まって、相手の安否を尋ねたり、自分や家族などの様子を形式的に述べたりします。そのあと、おもむろに「さて、~」という切り出しで、本題に入り、いただき物のお礼 やこちらからの贈り物、簡単なお願いごとなどに入ります。

 用件が済んだら、相手の健康などを気づかう言葉を添えて収束します。最後の文は手続き上の付け足しに過ぎませんから、このような構成は二部構成と呼んでいいでしょう。

 二部構成の文章では、始めに「事実」または「結論」を述べる形式もあります。そのあとで、その説明をするわけですが、説明の部は「理由」を述べる場合と、「具体例」を挙げる場合があります。

 いずれにして二部構成は200字以内の短い文章の場合がふつうで、それ以上長くなると持ちこたえられないでしょう。そこで次の三部構成が必要になってきます。


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