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第4章 構想と構成法 三部構成の文章(序破急/序論・本論・結論)

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三部構成の文章(序破急/序論・本論・結論)

 

 三という数字は、座りがいいものです。物事を二つに分けるのは、明と暗、男と女、前と後ろ、理屈と感情などのように対照的になり、必ず主従関係か対立関係が生まれます。

 ところが三つの場合は、対立関係がなくなり、じゃんけんにみられるように三すくみの関係も成り立つようになります。また、順位をつける場合でも、「金、銀、銅」とか「ベスト・スリー」のように三という数字は座りがよく、古今東西を問わず好まれています。

 文章構成では、三つのパートは順番に読まれていきますから、「三すくみ」や「順位」とは性質が異なりますが、最も自然な形式だといえます。

序破急

 三部構成で書く文章の代表的な形式として、序破急があります。序破急は、もともとは雅楽や能楽などの古典芸能の構成上の区分のことですが、転じて物事の展開に変化をつける場合に、比喩的に用いられる言葉となりました。文章の三部構成の意味で使う場合は、次のような「序」「破」「急」本来の意味をわきまえていなければなりません。

「序」…導入部。ゆっくりとした展開。
「破」…展開部。「破」は裂くという意味で、変化を表します。  
「急」…結末部。クライマックス。速い動きで終結します。

 以上のような心がまえでエッセイを書けば、変化に富んだ文章になるはずです。ただし、序破急はもともと舞台上で行われる芸術の構成であるため、結末部分が「急」となり、クライマックスで終わることになります。芝居や音楽なら劇的な効果が期待できますが、エッセイではどうでしょうか。テーマにもよりますが、もう少し静かに、余韻を持たせて終わりたいものです。

 「最後にクライマックスを迎える」というような展開は、結末の意外性が重要な短編小説やミステリー小説にいちばん向いているかもしれません。いちばん向いていないのは、説明や解説を主とする文章で、結末部の内容からいえば「ありえない形」と考えてよいでしょう。

序論・本論・結論

 一般的な三部構成といえば、序論、本論、結論となるのが常識的です。
 起承転結の「承」と「転」を合体させて本論の形にすれば、内容的にもこの形式とほぼ同じになります。

序論(起)…テーマや目的、事実を提示する。
本論………エピソードや主張など書きたいことを展開する。
結論(結)…結論ないし結末を述べる。またはオチをつける。エッセイでは余韻を残す。

 序論では、読者の興味をしっかりとらえることが大事です。何度も繰り返し述べますが、おもしろくなければ、個人あての文章でもない限り、他人の文章は読んでくれません。

 本論まで引っ張ることができたら、次は飽きさせないことが必要になってきます。だらだらと同じようなことを書くのではなく、序破急の「破」、あるいは起承転結の「転」の精神を忘れず、文章に変化をつけます。その上で、あれもこれもと欲張らず、自分がいちばん書きたかったことに集中することです。

 結論の部分は、余韻を持たせながら文章を収束させるものですから、あまり親切に書きすぎないことがエッセイや小説などでは大事です。読者は、行間や、最後の文の後ろに漂うものを発見することに、読むことの喜びを感じるものです。その楽しみを奪ってしまうと、それまでの文章がどんなにうまく書けていても、ちょっと減点になります。

 ところで、新聞の社説や論説などの文章は、初めの部分に重要なことを述べるのがセオリーです。終わりの部分はまとめや問題提起、あるいは付け足しのようなものが多く、さほど重要ではなくなります。そのため、このような文章は結論が最後に来る三部形式は使えません。

小論文の三部構成

 同じ三部構成でも、小論文の場合は結論(意見)を先に述べますから、「序論」の意味は変わり、また「結論」は「結び」に変わります。

序論……問題提起をして、意見を述べます。   
本論……自分の主張を展開します。
結び……手短にまとめます。

 ここでは本論が中心になるのはいうまでもなく、これまでの経過や実例など、自分の意見の背景や理由を述べたり、予想される反論に対する反論を述べたりします。

 結びは、自分の意見をもう一度、鮮明に述べ、自分の提案の意義や将来への展望についても一言触れます。

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