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第4章 構想と構成法 四部構成の文章/小論文の場合

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四部構成の文章/小論文の場合

 

 四部形式の文章といえば、すでに述べた起承転結が典型ですが、ここでは小論文に合った四部構成というものを考えてみましょう。

 その前に、起承転結に関連して、補足しておくことがあります。起承転結が小論文になじまないのは、結論が最後になるからという理由でした。「転」も不要です。しかし、論理的な文章がすべて結論を先に述べるべきかというと、そうではない場合もあります。たとえば、三部形式の一種で「正反合」というものが考えられます。

正反合の構成

 「正反合」では、まず序論で正論を述べます。次に、正論の矛盾点を述べて、反対意見をぶつけます。この反対意見は、あとでそれを論破して正論を正当化するためのものではありません。正反はがっぷり四つのまま、第三部に入ります。「結論」では、正と反の矛盾を止揚(アウフヘーベン)して、新たなる説を展開します。

 起承転結風の言い方をすれば、「正反合」は「起転結」ということになりましょうか。提案ないし問題提起で終わるのが、この構成の特徴です。

 しかし、一般的な小論文は、早い段階で提案を行い、それを検証していくものです。三部構成でも小論文は書けますが、慣れないうちは四部構成が書きやすいでしょう。

小論文の四部構成

 大学入試や就職試験などの小論文では、テーマを与えられて、限られた時間の中でまとめなければなりません。そんなときに威力を発揮するのが、論文の形式になじんでいることです。特に、ここで紹介する四部構成は、高い点をとるための最も有力な構成法となっているようです。

一部……問題を提起する。
二部……意見の骨子を述べる。
三部……意見を展開する(理由、背景、実例など)
四部……結論をはっきり述べる。

 以上が四部構成の内容ですが、最も重要なパートはいうまでもなく三部で、一部と四部は分量も短く、さほど重要ではありません。なぜなら、一部は設問を受けて絞り込んだテーマの開示や、抽象的な用語の具体的な定義づけなど、本論に入る前の手続きに相当するものですし、四部の結論は、事実上すでに二部で述べていることだからです。

 

 論文の四部構成は、こじつければ起承転結の「転」が展開の「展」に化けたものとも解釈できます。ただし、「起承結」の場合、「承」は実質的には「結論」であり、「結」は結論というよりも「結び」という意味になります。

 また、この四部構成は一部と二部を合わせて序論と考えれば、三部構成とみなすこともできます。一部と二部の占める比率が少なくなれば三部構成、一部が独立した分量になれば、四部構成というわけですが、どのような名前にしようと文章構成の本質が変わるわけではありません。

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