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 広告コピーライターになるために必要なこと

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広告コピーライターになるために必要なこと

 

コピーライターになるための資質、勉強など

 コピーライターって、どんなことをする人かご存知ですか? 
 新聞・雑誌などの広告で気の利いたキャッチフレーズを考える、言語感覚の優れた人。
 キャッチ一本で商品をヒットさせてしまう言葉のマジシャン…。

 一番カッコいい面だけをみれば、そんなイメージかも知れません。でも、どんな天才コピーライターでも、魅力のない商品や役に立たない商品をヒットさせることは不可能です。消費者のニーズに合った商品があって、次にそれをどう売りたいかという販売戦略があって、そこからコピーライターの仕事が始まるのです。

 通常、仕事はクライアントから受注するわけですが、まず開発者の立場と広告戦略を立てる立場からの説明があって、その方向に沿って企画立案をし、プレゼンテーションを行ないます。

 コピーライターは与えられた情報のみで考えるのではなく、資料に隅々まで目を通し、自身も消費者のニーズや商品の魅力を考え、どうしたらそれを強くアピールできるかを考えます。また、プレゼンテーションでは、コピーを視覚的に表現するデザイナーとのやり取りが重要になります。ものによっては何案かをクライアントに提出することもあり、それらの折衝には営業担当者が入ることもあります。最終的に制作が完了するまでの形ややり取りは、発注側と受注側の会社の規模やお付き合いの程度などによって変わってきます。

コピーの中味は、商品やメディアの特質によって大きく変わる

 扱う商品は多岐に渡ります。化粧品、ファッション、自動車、旅行、電子機器などは華やかで、誰でもやりたい仕事かもしれませんが、食品、家具、家電、雑貨など生活密着型や、スポーツ用品、外食、銀行、専門学校、通信教育、各種通販、書籍、法律事務所…など、ありとあらゆる商品の広告がコピーライターを必要としています。

 コピーを書く仕事を広告メディアの違いから見ると、テレビ、新聞、雑誌、ウェブ、ラジオ、ダイレクトメール、その他(冊子カタログ、新聞折り込みチラシ、ポスター、屋外広告、パンフレット、手渡しのチラシ)などに分けられます。また、広告ではなくても、商品パッケージやラベル、商品の説明書、会社案内などもコピーライターの仕事として入ってきます。

 一人の人間が多岐に渡る商品やメディアのすべてをこなすのは不可能で、おのずと得意分野ができることになります。たとえば、車や家電製品に強いコピーライターとか、雑誌や新聞の記事風の読ませる広告に強いコピーライター…といった感じです。

 特別詳しい専門分野を持っているのは強みですが、好奇心が旺盛で広く浅く何でもかじっているという人のほうが有利かもしれません。ターゲットとなるのは一般消費者であって、専門家ではありませんから、知りすぎているコピーライターは逆に消費者の心がつかめないということもあるのです。

広告代理店、制作会社、フリー、自社内ライター

 先ほどはクライアントからの依頼があって広告制作をするという前提でお話しましたが、コピーライターが仕事をする立場(所属)は4種類あります。

・広告代理店 

 コピーライターになりたい方は、まず有名な大手広告代理店に就職することをめざすでしょう。それが無理な場合は、あまり知名度はないが東京圏の中堅クラスの広告代理店、そしてさらにランクを下げるなら地方の広告代理店や小規模の広告代理店ということになります。

 大手の代理店は一流大学を優秀な成績で卒業し、もちろん文章力もあって、個性と情熱がある人が有望です。かなりの難関で、しかも入社できたとしても、希望の職種につけるとは限りません。どうしてもコピーライターをやりたいなら、ランクを一つ落とすほうが確実です。その分、給料と仕事の中味が目減りすることにはなりますが…。

・制作会社

 大手広告代理店の系列の広告制作会社や、安定的に取引のある制作会社に入るのは、大きな広告代理店より入社しやすくなります。制作会社はほとんどが中小企業ですが、その中でもクリエイティブスタッフが多い会社ほど、いい仕事ができるはずです。「スタートはどんな形でもよい。とにかくコピーライターになりたい」という方は、小規模に甘んじ、「経験者」という称号を得てから会社を移るという手はあります。成否は実力と実績にかかっています。

・フリーのコピーライター

 フリーのコピーライターにあこがれる人も少なくないでしょう。実力がつき、いくつかのクライアントの担当者と親しくなると、フリーでやっていける自信がつきます。でも、あらゆる職種にとってフリーランスになるのはリスクを伴います。当てにしていたクライアントから仕事がもらえないケースが多いのです。“実力”の半分以上は、実は会社の力だったりするわけで、その辺の判断ミスは誰にでも起こりうる問題です。何人かの業界関係者に勧められてから、フリーになることを検討しても遅くないでしょう。制作力よりも営業力が勝る人のほうが、成功率は高いかもしれません。

・自社内ライター

 特殊な例かもしれませんが、自社の商品を売るためにコピーライターを抱えている企業もあります。例えば、通信販売や通信教育を主体に営業している会社です。実は私(本サイト管理人)もかつてはそういう立場で、コピーライターと商品プランナー、編集者、編集ライター、デザイナーを兼任していました。また、時には制作を外注することもあり、その時はクリエイティブ・ディレクターになります。

 自社内ライターのメリットは、開発の主旨や自社の広告ノウハウを知り尽くしていること。そして、コピーの出来栄えが自社の売上や粗利益に直結していることです。大きな成果を上げれば、商品開発・提案者以上に評価されることもあります。

 オールラウンド・プレイヤーになる可能性が高く、職人的プライドよりも経営に直結した意識が高くなります。どちらが幸せかは、個々の人間性の違いもあり、一概に言えませんが…。

非エリートコース以外でコピーライターになるには

 このページをご覧のあなたは、失礼ながら一流大学卒業後すんなりと大手広告代理店に就職するという道から外れている方ではないでしょうか。

 かく申す私も大学卒業後、ディスプレイ・デザイナー⇒雑誌編集者⇒自社内教材編集者⇒自社内コピーライターという道をたどった者です。最初の就職を失敗したらもうアウト。なりたい職業につけないというのでは、社会はあまりにも非情です。でも、エリートの歩む道ばかりがコピーライターへの道ではありません。とにかく、この業界にもぐりこむ算段をしなければならないのです。まずは「経験者」になることが先決です。

 しかし、未経験者に門戸を開いている会社は少ないのが現状です。その中で、小さな広告制作会社や編集プロダクションには「未経験可」とあります。可能性はあるのです。

 とはいえ、まったく経験のない人が採用される確率は低く、ほとんど運です。そこで、コピーライターや編集者の養成所ないし専門学校で勉強しておくのがお勧めです。大学では社会で役立つことは教えてくれませんが、こうした養成所や専門学校では、実際の商品に即して制作の指導をしてくれます。

 広告関係では宣伝会議という雑誌が有名ですが、その会社がコピーライター養成講座を開いています。専門学校や養成所では講師との人脈が築けるのも魅力で、業界の空気が伝わってきて、コピーライターがより現実の仕事として実感できるようになるでしょう。

コピーライターになるためのトレーニング

 コピーライターを目指す以上、興味のある商品のキャッチ・コピーは日頃から注意して見るようにしてください。単に鑑賞するのではなく、自分だったらどういうコピーを書くか考えてください。そして、できるだけたくさん、キャッチ・コピーを書き出してみましょう(最低20本以上)。

 それから、400字前後の短くてわかりやすい文章を書くトレーニングをしてください。また、読む人の心に届くような言葉を捜すよう心がけてください。あまりひねらず、素直に。そして、毎日書き続けてください。内容やジャンルを選ばず、どんなことでも言葉で表現できるようにしてください。いやというほど書き続けてください。

 短文には必ず、人が思わず読みたくなるような短い見出しをつけることも忘れずに。ほとんどの広告は見出ししか読まれません

 なお、広告業界は何もかも東京が中心です。地方在住でコピーライターを志すのはかなりのハンデがあります。どのタイミングで上京するか、これは自分の人生の問題ですから熟慮してください。

 最後に、たとえコピーライターになれなくても、トレーニングをムダとは思わないこと。コピーライターになるための努力はいつか必ず役立ってきます。どんな職種でも、プレゼンテーション能力は必要かつ重要な資質になるからです。


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