第1章 文の構造と悪文(重複表現・ねじれ文等)
「悪文」は文法的におかしい場合もありますが、多くは読みづらい文、内容がなかなか頭に入りづらい文、読む気がしなくなる文…などです。ここでは、そうした悪文の原因と直し方を解説していきます。
〔CONTENTS〕文の構造と悪文(重複表現・ねじれ文等) 単語、文節、文、文章の違いとは 主語の省略と偽物の主語(やっかいな日本語) 修飾語、接続語、独立語とは 悪文の見本=長すぎる主語、遠すぎる主語と述語 つい書いてしまう意味の重複|修飾語で気をつけること ねじれ文が起こる仕組み|重文・複文にご注意 |
読みづらい文、頭に入りづらい文―その原因は?
あなたは「悪文」と聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか?
読みづらい文。内容がなかなか頭に入りづらい文。読む気がしなくなる文。そんな印象でしょうか。たいていの悪文は、よく見ると文法的におかしい表現がいくつかあるものです。
でも、書いている本人は「上手く書けないなあ」と思いながらも、文法的に間違っている文を書いているとは思わないものです。書いている最中は、自分が言いたいことに夢中になっていますから、客観的に見られないのですね。ところが、次の日に読み返してみると、「我ながらひどい文章」に愕然とするのです。
そこで、推敲を重ねながら書き直す作業が始まるわけです。しかし、文章の苦手な人は、おかしい文だと気がついたとしても、どう直したらすっきりした文章になるのかが分かりません。その一つの原因として、文の構造(文法的なこと)がしっかりと身についていないことが考えられます。
日本語は欧米語や中国語などと文の構造が異なる、膠着語(こうちゃくご)という言語なので、語順を入れ替えても意味が通じます。時には主語を省いても問題がないどころか、省いた方がすっきりした文章になることさえあります。そんなところから、「文法的には間違いがなくても読みづらい文章」ができ上がる可能性が常にあるのです。
「初歩的な悪文」をなくすための文の基本とは
主語の省略と偽物の主語
主語と述語で気をつけること
修飾語で気をつけること
文の種類/ねじれ文が起こる仕組み
「修飾語」を除けば、いずれも主語と述語が関係した文法的問題ですが、これは主語と述語の距離が離れている日本語独特の構造によるものです。特に、長い文を書くと「ねじれ文」が生じやすくなります。また、ねじれていなくても、わかりづらい文章になってしまいます。
ねじれ文とは、主語と述語の関係が文法的におかしく、意味が微妙にねじれた状態にあるものをいいます。なんとなく意味が分かるため、意外に気がつかないものです。筆者はプロのライターの文章を校正しながら、度々ねじれ文を発見しました。エラそうにこんなことを書いている私でも、うっかりねじれ文を書いてしまうことがあります。自分の書いた文章は、思い入れが強いので発見が遅れる傾向があります。「長すぎる文はねじれやすい」ということを、肝に銘じておいたほうがよいでしょう。
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