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文の種類とねじれ文が起こる仕組み

単文、重文、複文

 文はその構造から、単文、重文、複文の3種類に分けられます。分類の基準の第一は「主語と述語の組み合わせ」が複数あるか否かです。主語と述語の組み合わせが一つなら「単文」です。また、複数ある場合には、それぞれの「主語と述語」同士の関係がどうなっているかによって、さらに2つに分けられます。

 まず、わかりやすい単文の例を挙げてみましょう。主語に対応する述語が一つしかありません。

 彼女はいつも決まった時間に退社する
 私は商談中にはメモを取らない

 主語と述語のペアが複数あれば、重文か複文になります。両者を分けるのはそれぞれが並列関係か、それとも入れ子状態になっているかによります。並列関係になっているものが重文です。

 次は重文の例です。

 兄は何ごとにも慎重だが、弟は無鉄砲なところがある
 私が久々にアパートを訪ねると、彼はもうそこにはいなかった

 複文は、修飾語の中に主語と述語の関係にあるものが含まれるものです。

 父が丹精込めて育てたバラの花が見頃です
 さすがの情報魔も二人が近々結婚することを知らなかったようだ。

 なお、すでに述べたように日本語はわかりきった主語を省略する言語ですから、主語がなく、述語が複数ある重文や複文も存在することになります。そのことが次に述べる「ねじれ文」が生ずる原因の一つともなっています。

ねじれ文

 ねじれ文とは主語と述語の関係が意味的におかしいもので、文法的な誤りの一種です。多くの場合は長い重文や複文で生じますが、単文でも見られます。たとえば、

 私の日課は、朝6時頃から小一時間ほど、近くの公園を散歩しています

というような文です。「日課は」という主語に対して「散歩しています」が述語になっているおかしさに気がつくのは、そう難しいことではありません。正しい文章に直してみましょう。
 
 私の日課は、朝6時頃から小一時間ほど、近くの公園を散歩することです

 単文から、「日課は(~すること)です」という複文になりました。さすがにこのような文は、よほどの初心者ではない限り書きません。しかし、抽象的な概念が主語となった長い重文や複文では、ねじれ文がよく見られます。次の文は実際にある人が小論文の中で書いた極端な例です。

 〔極端なねじれ文〕
 日本人にとって肉食の歴史は浅く、肉を食べると脂肪過多になり、また、砂糖や脂も摂りすぎており、肥満や生活習慣病を引き起こす原因になっています。

 この文は四つの述語に対して主語が一つしかありません。省略された主語を補いながら分解してみましょう。

 ①肉食の歴史は浅い。   ②(日本人は)脂肪過多になる。   ③(日本人は)摂りすぎている。
 ④(それらが)原因になっている。

 省略された二種類の主語が最初の主語と異なっていました。しかも、②と③の主語は同じ「日本人」でも意味が微妙に異なります。②は「肉食の歴史の浅い民族としての日本人の体質」を述べているのに対して、③は「現代の多くの日本人の現状」にすり変わっています。わかったようでわからない文になっているのはそのためです。

 それぞれのパートは形式的には並列とはいえ、因果関係が錯綜しており、一つの文にまとめるには無理があります。二つに分けてねじれ状態を解消してみましょう。

 〔添削例〕
 肉食の歴史の浅い日本人は、肉を食べると脂肪過多になりがちです。その上、砂糖や油もとりすぎの傾向があり、それらが肥満や生活習慣病を引き起こす原因となっています。

 だいぶ意味が通ってきましたが、それでも説得力の面で不満が残るのは、具体的な事例を示さずに論理を詰め込みすぎたからです。特に、肉食の歴史が浅い民族が脂肪過多になりやすいかのような記述は唐突です。仮に内容に間違いがないとしても、独善的な印象を与えています。前後の文章の流れも含めて直す必要があります。

 一般に、読んで意味がすぐにわからない場合は、ねじれ文になっていることが多いようです。また、文章を書き慣れない人が背伸びして書くと、ねじれ文になりやすいということはいえます。

 ねじれ文予防法の第一は、一つの文に欲張っていろいろな内容を詰め込まないことです。また、主語と述語の関係を常に意識して書き、読み返したときに意味がわかりやすいかどうかを、しっかりとチェックすることも大切です。

プロが気がつきにくいねじれ文

 ねじれ文はひと目で変だとわかるものばかりではありません。どことなくすっきりしない文でも、意味がわかってしまうため気がつきにくいねじれ文もあります。

 次の文は、実際にプロのライターが書いたものです。編集者はこうした文も発見し、わかりやすいように書き直さなければならないのですから、専門知識のない場合は苦労します。自信のある方は試しに添削してください。

 〔プロがうっかり書いたねじれ文の例〕
 たんぱく質が多い食物は、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類、牛乳やチーズなどの乳製品、魚介類ではマグロやアジの開き、他の食品では大豆に多く含まれています。

〔問題点〕
① 主語「たんぱく質が多い食物は」に対して、述語を含む句「大豆に多く含まれています」はねじれを起こしている。
 「たんぱく質は~に多く含まれています」か、「たんぱく質が多い食物は~です」のどちらかでなければならない。

②「~などの肉類」「~などの乳製品」と並列の関係のところに、「魚介類ではマグロやアジの開き」と「他の食品では大豆」が続くのはおかしい。

 〔添削例〕
 たんぱく質は、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類、牛乳やチーズなどの乳製品、マグロやアジの開きなどの魚介類、及び大豆に多く含まれています。

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