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長い文がいいか、短い文がいいか?

 

 文は短いほうがいいか、長いほうがいいか。なかなか難問です。

 昔の作家でいえば、谷崎潤一郎が長い文、志賀直哉が短い文の代表選手というところでしょうか。谷崎ファンなら「前者は名文であり、後者は味も素っ気もない」と主張するでしょうが、志賀ファンから見れば「だらだらと長い文よりも、短くて簡潔な文のほうが美しい」ということになります。

 一般に、短い文は簡明でスイスイと読めるのに対して、長い文は理解のスピードが落ち、読むのに疲れる傾向があります。よほどの名手が書いた文章でもない限り、長文が続くとそれだけで全体が澱んだ感じになります。まして、初心者が長い文を書くと、ねじれ文になりやすく、たとえ間違いのない文が書けたとしても、だらだらとしたわかりづらいものになりかねません。短い文に軍配が上がりそうです。

 ところが、ことはそう簡単ではありません。短い文は、主語と述語が一つずつの単文になりやすく、単純で子供っぽい印象を与えます。短文が延々と続くと、かえってリズムが単調になり、飽きてくるということもあるでしょう。

 長い文は構造も複雑になり、格調高く大人っぽい感じがします。格好いい文だなあ、と思わせる効果もあります。どんな種類の文章であれ、書くという行為には何らかの自己表現が含まれますから、格好つけることが一概に悪いとはいえません。また、評論や小論文などでは、好むと好まざるとに関わらず長い文が避けられないでしょう。短い文をつなげるほうがかえって論理がわかりづらい、ということもあるのです。

  

 そろそろ結論が見えてきました。文は短いほうがいいか、長いほうがいいか。それは両者を適度に織り交ぜて書くことです。短い文の簡明さ、スピード感と、長い文の複雑さ、大人っぽさを生かせば、メリハリのある豊かな文章になるでしょう。

 では、両者の比率はどの程度がよいか。それは文章の目的によっても異なるでしょうし、書き手の好みや思考様式にも左右されます。文がつい長くなってしまう方は、文を二つに分けて、わかりやすくリズミカルにする手法を会得しましょう。また、長い文が苦手な方は、読解力を磨いて複雑な構造の文にチャレンジしてください。


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