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  >第2章 読みやすい文章文体(である調・ですます調)は統一する

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文体(である調・ですます調)は統一する

 

「です・ます」と「だ・である」の混在は見苦しい

 文体といえば真っ先に思い浮かぶのが、「です・ます」体と「だ・である」体でしょう。どちらがよいかは好みの問題というよりも、文章の目的や種類によるところが多いようです。

 小説や評論はおおむね「である」で書かれます。特に評論は、「である」のほうが歯切れがよく、「です・ます」体で舌鋒鋭く批判を展開しても、腰が引いた感じになってしまいます。同じ意味で、学生が小論文を書くのも、「だ・である」体と相場が決まっています。教授が読むのだからといって、「です・ます」体で書く人はめったにいないでしょう。

 しかし、小説の世界では太宰治のような例外もあります。主人公が読者に告白しているような「です・ます」調の饒舌な語り口が、独特の世界を作り上げているのです。あまり真似のできる芸ではありませんから、ほとんどの作家は「である」体を用います。

 新聞やニュース性の高い雑誌は、例外なく「である」調です。論理性や歯切れのよさだけでなく、情報量の多さも重要なポイントとなっています。 

「です・ます」体が必ず用いられるのは、企業の広告パンフレットや通信文など、失礼があってはならない相手に「読んでいただく」ことが前提の文章においてです。

 手紙もほとんどが「です・ます」体で書かれます。親から子供へ、先生から学生へ、上司から部下へと、本来なら丁寧語を使う相手ではなくても、手紙となると「です・ます」が多くなるのはなぜでしょうか。やはり、改まった感じのときは「です・ます」という意識が働くのかもしれません。実際、砕けた文体で手紙を書くのは、かなりの力量が要求されます。「模範的な手紙の書き方」を逸脱する勇気が、大多数の方にはないのでしょう。

 一方、どちらの文体でも書かれるのが、エッセイ、解説文、実用書、一般雑誌の記事などです。「です・ます」と「だ・である」には一長一短がありますから、どちらがよいということはできません。

 ただし、解説文のうち、商品についている取扱説明書は「お客様に読んでもらう」という意識から、丁寧語になります。その他のハウツー物でも、超初心者にわかってもらうという意味で、やさしい口調の「です・ます」体が選ばれることが多いようです。  

 さて、どの文章読本に目を通しても、文体に関しては必ず、「です・ます」と「だ・である」は統一するようにと書かれています。これは「絶対的法則だ」とまでは断定できませんが、ほぼその通りだと思います。一部の名手たちに、両者が混在した文章を操る人がいないわけではありませんが、文章のプロでさえ、なかなか手に負える技ではありません。まして素人の方が真似しても、ぎくしゃくした違和感のある文章ができるだけです。
 
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