五部構成の文章(三部構成の発展形)
三部構成にしても四部構成にしても、中心となる本論が最も文字数が多くなるのは当然です。内容によっては、本論が全体の半分とか三分の二を占めることだってありえます。そうなると「本論の構成法」が必要になってくるでしょう。
三部構成の中核をなす本論を、さらに三部構成にしたものが五部構成です。一般的なエッセイにも有効な構成法ですが、特に小論文には威力を発揮します。
本論の三部形式はどのようなものでもかまいません。たとえば次のような形式が考えられます。
序破急 序論・本論・結び 並列構成……A、B、Cの柱が対等な関係になっている構成 並列+総合…A、Bの柱を立て、さらにそれらを総合化する構成 |
この方法を拡大すれば、三部構成の本論を四部構成にしたり、四部構成の本論を三部構成にしたりして、六部構成にすることも可能ですが、一つのまとまった文章をあまり複雑化するのは考えものです。小論文においては、何よりも論旨が明快であることが重要であって、いろいろなことを書けば説得力が増すというものではないのです。
よく言われることですが、スピーチで述べる柱は三つ以内、文章では四つ以内にするのがよく、それ以上多くなると頭に入りづらくなります。五部構成は、三部構成の発展形だから納まりがよいのです。
以上で文章の構成法についての解説を終えますが、最後に付け加えたいことがあります。それは、これらの構成法にあまり束縛されないように、そしてあまり無視しないように、ということです。
特に、文章を書き慣れないうちは、自分の書こうとしている文章の目的や枚数にあった構成法に従って書いてみてください。日本では古来より習い事は「かたち」から入るというのが一般的です。「型にとらわれるな」という教えは、上級レベルになってからでも遅くありません。
少し書き慣れてきた人が、セオリーとなっている構成法にとらわれず書いたつもりでも、短い文章ならたいていの場合、起承転結か三部構成になっているものです。文章構成法は、人間にとって普遍的な思考様式が土台になっているからです。自然な文章は読みやすく、また、読みやすい文章を心がければ、自ずとセオリーにかなった構成になってくるでしょう。
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