就職作文のテーマと対策
発想力・思考力・表現力・意欲 …
作文で評価されるのは?
就職試験といえば、一般的には「学科、作文、面接」があり、専門分野によっては「実技」が加わることもあります。それらの目的を大雑把に言えば、学科は学力・知力、面接は人格・人柄、実技は専門的技術・技能を評価しようというものです。しかし、作文に関してはいったい何を評価しようというのか、とまどうのではないでしょうか。
作文(小論文も含む)は、企業の規模や募集人員、学科試験の有無などによって目的や評価法が多少異なるかもしれませんが、学科と面接の中間的な存在と見ることができます。つまり、次のような項目が評価されることを想定しておかなければなりません。
【作文で評価の対象となるもの】 ①国語力、一般常識 ②発想力・表現力、作文技術 ③性格・人格 ④総合的な思考力 ⑤仕事や将来へ向けての意欲 |
学科試験でわかることは身につけた学力、知識のレベルであり、総合的な思考力や言語的表現能力までは判定できません。また、面接も限られた時間の中では、表面な人物像しかわからないことが多いものです。作文には物事への発想の仕方や思考力が現れるので、学科や面接での評価を補う存在といえるでしょう。
出題される作文のテーマにはいくつかの傾向がありますから、どんな題が与えられても慌てないように、あらかじめ具体的な内容を考えておいたほうがよいでしょう。一つのテーマから、語るべき内容を決め、その展開をイメージするトレーニングは、決してムダなことではありません。就職試験には出なくても、その思考訓練は将来の仕事に直接的・間接的に生きてくるはずです。
就職試験でよく出る作文のテーマ
就職試験の作文では、比較的似通った抽象的な題が与えられることが多いものです。公平を期するため、特定のジャンルの知識や経験が有利になるようなテーマは、避けなければならないからです。そこで次のような「お題」がよく選ばれることになります。
・今までに一番感動したこと ・最近、感動したこと ・学生時代で楽しかったこと ・私の友人 ・心に残る言葉 |
・今までに一番頑張ったこと ・最近、興味を持ったこと ・将来の夢 ・私の家族 ・忘れられない人物 |
どのタイトルも抽象的で、範囲が広いのが特徴です。大事なことはこのテーマから、自分の体験に即した具体的な内容に絞り込みをしていくことです。連想ゲーム的な発想で、具象的なキーワードを思いつくままに挙げていくうちに、書きたいことが二、三見つかるはずです。
一つしか思い浮かばなければ、それにするしかないわけですが、体験に基づいた生き生きとしたエピソードは必ず入れなければなりません。リアリティのあるなしは、読み手をひきつける上で重要なポイントです。また、誰もが書きそうなことを避けることも大事なことです。採点者は同じテーマの、しかもあまりうまいとは言えない作文をたくさん読まなければならないのですから、心のどこかに引っかかってくれるエピソードや着眼点、表現力などがなければ、注目してくれません。「何を書くか」は、文章の巧拙より大事なことかもしれません。
内容の絞り込みと構想(私の就職作文体験から)
実は、その頃の私の人生はあまり楽しくなく、失意の中での就活でした。そこで、1~2年生の頃の楽しかった思い出の場面を懸命に思い浮かべました。夏休みの高原での合宿。美術展での初めてのデート。将棋仲間のこと。大学祭の展示場作り…。そして、ひらめいたのです。「そうだ、大学祭の展示場作りで徹夜をした充実感を書けば、ディスプレイの現場につながっていいかも…」
ディスプレイ・デザインは心からやりたい仕事ではなかったので、そうした引け目を吹き飛ばして一石二鳥です。さらに、あまり社交的ではなかった私は、「徹夜明けの心地よい疲れの中で感じた、仲間たちとの連帯感」を強調する、一石三鳥の展開を思いついたのです。結果は、晴れて「採用」となりましたが、学科と実技(立体構成)の出来の悪さを補って、作文が貢献したと、今でも思っています。
最低限の文章の書き方は心得ておく
就活の作文に限らず、提出する文章を書くには最低限の文章の心得が必要です。誤字や言葉の用法の間違いなどは、文章以前に国語力の欠如とみなされて論外ですが、主語と述語などの関係がおかしくなくなる、ねじれ文には気をつけたいものです。本サイトでは文章の基本中の基本について、「文章講座」で解説していますので、ざっと目を通しておいてください。中でも重要なテーマは下記の通りです。
悪文の見本=長すぎる主語、遠すぎる主語と述語
ねじれ文が起こる仕組み|重文・複文にご注意
長い文がいいか、短い文がいいか?(長所と短所)
読点の打ち方―原則は10パターン
段落・改行は長すぎず、短すぎず、適切に
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文章冒頭「つかみ」のコツ|テーマの提示は早めに!
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