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  多彩な「歩の手筋」に翻弄された中2の春=井の中の蛙時代

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多彩な「歩の手筋」に翻弄された中2の春
=井の中の蛙時代

 中学時代、クラスでは将棋が一番強かったので、私は少々天狗になっていた。たまたま身近に強い生徒がいなかっただけで、今思えば棋力は甘く見積もって「8~9級」といったところではなかったか…?

 中学2年の1学期だったと思う。学校から帰る方向が同じだった親友がいて、ある日突然、「近所に将棋の強いやつがいるから、やってみないか」という。次の日、さっそく「強いやつ」の家に案内された。待ち受けていたのは隣のクラスの目立たない男で、学校の成績は多分、中くらいだった。今でもそうだが、「将棋が強くなる子供は秀才」という通念がある。当時の私もそうだった。

 ところが、対局が始まると彼は手つきもよく、あまり考えずに迷いなく駒を進める。私は定跡をほとんど知らなかったので必然的に乱戦になり、気が付けば王様がピンチなっていた。惨敗に納得がいかず、「もう一番」ということになったが、こちらの弱さを知った敵は、ますます調子に乗ってワンサイドゲーム。無残の2連敗をしては、さすがにやる気が失せた。

 だいぶ後になって知ったことだが、彼の繰り出した手は、「突き捨ての歩」や「たたきの歩」といった手筋で、その歩を取っても取らなくても、次にうまい手が用意されている。特に相手が前進した歩の背後に香を打つ手筋は、1局目と2局目の両方で見事にはまり、いやでもこの手筋を覚えることとなった。

 「そこで一念発起、将棋の勉強を真剣に開始…」となるのが自然な話の流れだが、そうはならない。私はその頃、父から囲碁を教わっていて、将棋どころではなかったのである。しばらくの間、私はこの悔しさを忘れていた。将棋で悔しい思いをするのは、それから4年後となる。

将棋③(2021年3月) 

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